手負いの獣が訪う20題

 

血を滴らせて彼は来た

無闇やたらと残忍で

破片から君を知る

人喰っては怒号の河を

痴れびとのよろこび

さぁ、この身を片づけて

しびれた指で訴えた

その復讐、お安く買います

闇夜の羊はとめどなく

優しさの皮を剥いで
 

狂った砂は月にさけぶ

概ね無害と嘯く舌を

人の行い、彼の償い

悲しみの銅鑼を鳴らせ

寄り添う熱さえ毒になる

少しの憐みを君に

ただ、無様に欲しがった

痛みのない丘の下

真っ白な記憶ばかりさ

愛を知りすぎた獣