君がいる10題

 

閉ざした扉の向こう側、微かに君の呼ぶ声がした

寒いよ、もっとこっち、分け合える距離にいて

砕け散った心を、やわらかな指がひとつひとつ拾っていく

今も昔も、生きる理由を投げかける君がいた (諦めさせてはくれない、ね)

カーテンが揺れる、光の中、ふわりと笑う

ふと、わたしは幸せであると自覚した

傘をたたむ君の、前髪が少し濡れていて、 (つい、触れてしまった)

帰る場所はここだよって、気づかせてくれる君が好きだ

ねぇ、笑ってみて、思いっきり変な顔で!

世界がなくなるまでのわずかな時を、君と過ごせたら