帽子は舞い、波が足に打つ
ゆれる幻に恋をしたらしい
競い合い伸びる植物の中で
したたる西瓜の汁を舐める
風の音、蝉の声、君の寝息
夢で飛んだ大空が目の前に
暑くても離れられない背中
ふと小さな命に気づき笑う
からころと屋台を巡る下駄
一口とねだる舌に氷の粒を
ぱたぱたと扇ぐ浴衣の襟元
火照る頬を冷たい手が包む
静かに寄り添う夕暮れの影
抑えきれぬ熱に魅入られて
雨をぬぐう腕と虹を探す瞳
見失う前に大切だと告げた
光は闇に咲き、心を焦がす
触れ合う記憶を残した日記
次の季節も共に生きたいと
忘れがたい夏がまた訪れる