危険を追う研究者と助手兼実験体の43題

 

この下に私の体の一部が埋まっています

意味がありましたね、彼に頼んで正解だった

あれが私の歓喜を映したフィルムです

私の研究には適量の危険と、捻れば流れる水のような財源が必要でした

ご存じないでしょうが、貴方のような人間はなかなか値が張るのです

埋めましょう、彼は助からない、埋めてしまいましょう

血が通っているとしたら、その色を確かめねばなりません

いいですか、私が合図したらあなたはあれに噛みつきなさい、そこを私が、あ、

落ち込んではいられません、これを持って、底に垂れたものを舐めるように採取しなさい

綺麗な結晶ですね、あなたが今朝吐いた血の色に似ています

 
振ってください、ああ、あくまでゆっくりと、零れないようにお願いします

痛いですか? もう一度聞きます、痛いですか?

よろしい、あなたのおかげで実験に新たな展開が生まれました、ご褒美に撫でてあげます

すみません、手袋を外すのを忘れていました

これでおしまいですね、今日のところは帰りなさい、道中食われないように

私はいいんですよ、眠るのは得意じゃありませんから

雨が降ったようです、痕跡が流れてしまった

罠を張るしかありません、肉を、ありったけの肉を用意しなさい

静かですね、よく耳を澄ましなさい、あなたの野生の勘が頼りです

どうやら罠にかかったのは我々でしたね

 
さあ、手を! 五体が引き千切れても知りませんよ!

私の体が動くうちに、あなたはあれに乗って逃げなさい、早く、

バラバラにするのは得意です、もっと近寄って、そう、そう、

ああなんて、なんて美しい! これが手に入るなら左手など安い物です

いけませんね、駄々をこねる子には苦い薬を飲ませないと

おや、なぜ出てきたのです、私がいつ助けを求めましたか、

あなたは私が買ったのです、断りなく傷つくことは許されません

あまり怒らせないでください、枷はもう外れているのですから

疲れこそすれ死にはしないのですよ、そのように造り変えたのです

泣くというのは不思議な現象ですね、この辺りの空気に作用している

 
もっと泣かせてみたいのですが、よろしいですか

何かが集まってきました、赤いの、黄色いの、おかしな匂いもします

楽しくなってきましたねぇ、ええ、これはあなたが起こした事態です

責任を取って餌になりなさい

まさか、私の目にあれが映る日が来ようとは、

闇のようですね、これはひどい、豊潤すぎる闇だ

真理のその先、ねじ曲がった虚無の内側を、覗いてみたいと思いませんか

あなたが望むなら、ここでさよならです

今さら喚いても取返しのつかないことくらい、分かっていたでしょう

では掴まりなさい、私の顔と名前を記憶にしっかり焼き付けて、目を離さないで

 
きっとあなたの血が私を惹きつけて手繰り寄せるでしょう

信じています、最初からね

次の世界でも、当然この研究書につづきを書くんですよ!