人では無い貴方へ捧げた21題

 

君には知られたくなかった、私には心臓が無いということ

それ以上近寄らないで、君には綺麗なままでいてほしい

抱きしめたかった、私がこんな姿でなければ

すまない、と絞りだした声があまりにつらそうで僕は

さあ行っておいで、ここでのことは誰にも秘密だ

愛を知る術なく、人という生き物に憧れ続けて

足元にばら撒かれた画鋲のような貴方の言葉

怖がらないで、僕はそんなに脆くない

私に渦巻く私でない者が、ひどく君を欲しがるから

鮮烈な痛みとほんの少しの安堵を君に

神様を絶望させる方法を今日も考える

どうか認めてはくれないか、私は君に相応しくない

鏡を割れば本当の私が出てくるような気がして

惹かれてしまう、止められない、貴方と共にいたい

身体という器を壊して、君の魂に触れたいなんて

私だけが助けられた、私だから助けられなかった

目の前にいる君の悲鳴が、まるで遥か彼方

痺れてしまえば、痛みか快感かもう分からない

苦しくないよ、だから僕のことで泣かないで

貴方にやっと、永遠の愛をあげられる

幸福の形を、かつて想い描いた化物